【読書感想文】エチュード 警視庁捜査一課・碓氷弘一4(今野敏)

 

碓氷弘一シリーズ4「エチュード」を読んだ。

 

渋谷で通り魔事件が発生。一般市民によって犯人は取り押さえられて現行犯逮捕されたが犯行を否認している。その後新宿で通り魔事件が発生するが、犯人逮捕に至る経緯が渋谷の事件と全く同じだった。2件の事件は偶然の類似なのか、それとも・・・
碓氷は警察庁の心理捜査官と組んで事件を捜査する。

 

個人的には今までの碓氷弘一シリーズで一番良かった。
碓氷はしっかり話の中心にいて主人公らしくしている。
今回の相棒となる心理捜査官の藤森紗英は精神的な弱さや未熟さを見せることもあるが、プロフェッショナルとして自身の責任を果たそうとする姿勢に好感が持てる。こういう人と一緒に仕事がしたい。

 

事件の時はいつも泊まり込みで汗臭い碓氷だが、今回は家での家族とのふれあいも描かれている。前作「パラレル」で碓氷は自分の子供たちも将来非行に走ることがあるかもしれないと心配していたが、子供たちは今のところいい子のようで安心した。
事件も大事だが家族も大事にしてほしい。以降の話で子供たちがグレてたら多分へこむ。

 

犯人が最後にやろうとしたことと、それを阻止するための作戦は予想できてしまった。
心理学の専門家同士の戦いという話だったのでもうひとひねりあってもよかったのではないかと思う。
でも作品としてはとても面白かった。