【読書感想文】ペトロ 警視庁捜査一課・碓氷弘一5(今野敏)

 

碓氷弘一シリーズ5「ペトロ」を読んだ。

 

考古学者の妻と弟子が殺された。殺人現場には「ペトログリフ」と呼ばれる古代文字が残されていた。碓氷弘一が古代文字の謎を探る。

 

今回も碓氷はしっかり主人公している。こういう路線でいくことにしたのか?
前の脇役みたいなポジションにいる碓氷も味があってよかったが、こっちの方が好みだ。

 

今回碓氷が組むのは考古学者のアルトマン教授。
妻と弟子を殺された考古学者 鷹原は出土品以外のものは信用しない実証主義、アルトマン教授は言語学民俗学も大事にする主義で考え方は異なるがお互いを高く評価している。
鷹原もあまり嫌なやつではなさそう。鷹原の一番弟子の嘉村は嫌なやつ。

 

今回は特にすごいトリックがあるわけではなく、ひたすらペトログリフの意味を追求していく。アルトマン教授がペトログリフの謎を解いて犯人を特定することができたが、特別なトリックは無いので謎解けなくても地道な捜査でそのうち解決できたのでは?と思ってしまった。

 

アルトマン教授はいいキャラしてたと思う。
人格者というかいい大人というかそんなイメージ。イケオジ。

 

面白かったが、なんかさらっと読めてしまって心に引っかかるものはなかったかなー。
碓氷の子供たちはいい子でよかった。子供のうちにちゃんと勉強しましょう。

【読書感想文】エチュード 警視庁捜査一課・碓氷弘一4(今野敏)

 

碓氷弘一シリーズ4「エチュード」を読んだ。

 

渋谷で通り魔事件が発生。一般市民によって犯人は取り押さえられて現行犯逮捕されたが犯行を否認している。その後新宿で通り魔事件が発生するが、犯人逮捕に至る経緯が渋谷の事件と全く同じだった。2件の事件は偶然の類似なのか、それとも・・・
碓氷は警察庁の心理捜査官と組んで事件を捜査する。

 

個人的には今までの碓氷弘一シリーズで一番良かった。
碓氷はしっかり話の中心にいて主人公らしくしている。
今回の相棒となる心理捜査官の藤森紗英は精神的な弱さや未熟さを見せることもあるが、プロフェッショナルとして自身の責任を果たそうとする姿勢に好感が持てる。こういう人と一緒に仕事がしたい。

 

事件の時はいつも泊まり込みで汗臭い碓氷だが、今回は家での家族とのふれあいも描かれている。前作「パラレル」で碓氷は自分の子供たちも将来非行に走ることがあるかもしれないと心配していたが、子供たちは今のところいい子のようで安心した。
事件も大事だが家族も大事にしてほしい。以降の話で子供たちがグレてたら多分へこむ。

 

犯人が最後にやろうとしたことと、それを阻止するための作戦は予想できてしまった。
心理学の専門家同士の戦いという話だったのでもうひとひねりあってもよかったのではないかと思う。
でも作品としてはとても面白かった。

【読書感想文】パラレル 警視庁捜査一課・碓氷弘一3(今野敏)

 

碓氷弘一シリーズ3「パラレル」を読んだ。

 

非行少年が次々殺される。手口から犯人は武道の達人と思われる。警視庁と神奈川県警の合同捜査本部が事件を追う。

 

碓氷弘一シリーズ3つ目。碓氷はいつも影薄いんだな。というか他の登場人物が濃いのか?
今回は急にお祓い師とかが出てきて戸惑った。「碓氷弘一読んでたよな?」って思って表紙を確認した。

 

話の中心は武道家たちとお祓い師&役小角たちになる。
刑事ものだと思って読み始めたが、まさか超能力バトルになるとは。これはこれで面白かったから全然いいんだけども。
読んでる途中で碓氷弘一シリーズだってことを忘れていた。これは2巻と同じだな。
今回は黒幕確保の場面にも碓氷いないし。碓氷もっと頑張れ。

 

なんかバックグラウンドの設定がやたらしっかりしてる登場人物がわらわら出てくると思ったら、今野敏の他の小説の主人公たちらしい。そのうちそっちも読まなくては。
今回が特別でオールスターみたいなものなのか?手塚治虫スターシステムみたいな感じで今野敏の作品にはよくあることなのか?

 

読みたい本がどんどん増えていくな。

【読書感想文】十角館の殺人(綾辻行人)

 

館シリーズ十角館の殺人」を読んだ。

 

大学ミステリ研究会の7人は孤島に建つ十角形の奇妙な館を訪れる。その館を建てた建築家、中村青二は半年前に炎上した屋敷で焼死したという。
孤島の学生たちを連続殺人が襲う。

 

騙された。
犯人は誰だろうとか考えながら読んでいたけど、読み方を間違えていた。騙されないように疑いながら読まないとこれは予想できなかった。たぶん疑って読んでても騙されたと思うけど。
犯人がわかったときは「なるほどなー」ではなく「嘘だろ!?」って思った。あの1行を読んだときは衝撃が走った。

 

最初ははしゃいでいた大学生たちが一人ずつ殺されて疑心暗鬼になっていく様子は少し怖さを感じる。作中でも言われているが、まさに孤島の連続殺人。ミステリではよくある定番のシチュエーションだがやはり面白い。騙されてたけど。

 

個人的には探偵の活躍がちょっと物足りなく感じた。
解決編というか謎解きの部分は犯人の回想になっていて探偵の出番はない。いつのまにか犯人側に感情移入してしまって、犯行のトリックがバレないかドキドキしながら読んでいた。
カッコよく推理を披露してビシッと犯人を当てるシーンを期待して読んでいたので残念だった。「えっ、終わったの?」って感じだった。

 

Huluで実写ドラマが見れるらしいけど、これどうやって実写化したんだろ?

【読書感想文】アキハバラ 警視庁捜査一課・碓氷弘一2(今野敏)

 

警視庁捜査一課・碓氷弘一シリーズ第二弾「アキハバラ」を読んだ。

 

秋葉原で銃撃事件が起きる。
さらにその捜査中に電器店のビルに爆弾を仕掛けたという電話が入った。

 

ロシアンマフィア、日本のヤクザ、中近東の女スパイ、モサドたちがそれぞれの思惑で動き、たまたま嚙み合ってしまった結果全員が「どうしてこうなった」と思う方向に事態が進んでいく。

 

前半部分は事件が起きるまでを描いているが、事件が起きないと警察は動かないわけで、碓氷が全然出てこない。やっと碓氷が出てきた時には碓氷弘一シリーズを読んでいたことを忘れてた。前半も面白かったから別に問題はないんだけど、碓氷の影が薄い。
碓氷自身は前作の爆弾テロ事件で思うところがあったらしく、テロに立ち向かおうとする姿勢が強くなっており、ちょっとカッコよくなってる気がする。

 

前作に続き解決はあっさり気味かな。最後に巻き込まれた若者史郎の活躍があったけど、戦争慣れしている外国人たちがデウスエクスマキナのように力技で場を収めたような印象。

 

史郎は運が悪すぎ。初めて秋葉原に来た日に万引き犯に間違われて、ストーカーに間違われて、爆弾騒ぎに巻き込まれる。警察官の沼田が言っていたように疑われるような行動をしていたのもあると思うが、それにしても盛沢山すぎる。
自分ならこんなことになったらもう外に出るのが怖くなってしまう。。。

【読書感想文】触発 警視庁捜査一課・碓氷弘一(今野敏)

 

警視庁捜査一課・碓氷弘一シリーズの「触発」を読んだ。

 

朝のラッシュ時間に地下鉄駅で爆弾テロが発生。
捜査中に第二の爆破予告が届き、事件は連続爆破テロとなっていく。

 

タイトルにもなっているし碓氷が主人公なのだと思うが、なんかパッとしない男。
中年太りで頭は薄くなっているらしい。刑事としての誇りというか意地のようなものは持っているみたいだが、それよりも警察内での自分の立場を守ること考えていたりする。

どちらかというと自衛官二人組の和也と横井の方がカッコいい。
自衛隊が登場したときは、独自に事件に関わっていくのかと思ったが、警察に出向となり一緒に捜査することになった。

警察と自衛隊が手を組んでテロに立ち向かうというのは、なんというか仮面ライダースーパー戦隊のコラボみたいな感じでちょっとテンションが上がった。

 

物語は警察側と犯人側が並行して描かれており、最初から爆弾の犯人がわかっている状態で進んでいく。
大学の教授と助教授のやり取りも面白かった。テロが起こっても日本の一般人の生活は何も変わらない、というのが印象的。社会科学の実験って大規模なんだなー。
戸上は安いアパートに住んで余裕のない生活してるはずなのにまとまったお金が用意できたり、ちょいちょいメールを気にしてたのはこういうことだったんだな。

 

和也と横井はいいコンビだし、最初は気に入らない様子だった碓氷とも捜査を通して信頼関係ができていく。定番だけどやっぱりこういうのはいいね。
終盤は良い感じに盛り上がっていたが、解決は少しあっさりというか突然終わったように感じた。戸上はあっさり捕まるし、爆弾もスムーズに解体されたし。

全体としてはとても面白かった。

【読書感想文】姑獲鳥の夏(京極夏彦)

 

姑獲鳥の夏」を読んだ。
百鬼夜行シリーズの第一弾。

 

映画化もしているらしいが観たことはなく、「ジャンルはミステリーらしい」というくらいしか知らない状態で読んだ。
序盤から京極堂が心と脳についてとかの持論を延々と語っていて「面倒くさいやつだなぁ」とか思ってしまった。

 

主題となる事件は失踪した男性を探してほしいというもの。
依頼人は失踪した人物の妻の姉「涼子」。依頼人の妹であり失踪した男性の妻「梗子」はどういうわけか妊娠二十か月らしい。
事件の調査が始まるが、登場人物全員怪しい。涼子も梗子もその家族も怪しい。
物語は関口の視点で語られているのだが、この関口もかなり怪しい。変な夢を見ていたり、昔の記憶が抜けているような所がある。

 

憑物とか呪いとかのオカルトなものを扱っているが、霊能力で解決というわけではなく、民俗学や心理学といった側面から説明というか謎解きがされる。京極堂の解説は読んでてなるほどなーと思った。
「この世に不思議なことなど何もない。」
序盤で面倒くさいやつだと思った京極堂がカッコよく見える。
でも榎木津の他人の記憶が見える能力は不思議だと思う。この能力は記憶と意識について長々と京極堂が説明していたがよくわからなかった。

 

これはこれで味なのだと思うが、全体的に冗漫というかもったいぶっているというか、そんな印象を受けた。
こういう表現によってこの作品独特の雰囲気が出ているのだと思うが、話の筋が面白くてどんどん先を読みたかったので気になってしまった。

 

あとやっぱり関口やばいだろ。ラストで日常に戻ってるけど、昔のことはもう忘れましょうでいいのか?
事件は解決したけど何かいまいちすっきりしないような。。。