ハードSFの傑作と言われる「星を継ぐもの」を読んだ。
めっちゃ面白かった。夢中で読んでしまった。
月面で深紅の宇宙服を着た死体が見つかったことから物語は始まる。
調査の結果、その死体は5万年前に死亡していたことがわかった。
さらに木製の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見される。
一つの謎が解決すると新たな謎が現れる。
過去に何があったのか、歴史を解き明かすことはできるのか?
序盤は世界観説明が結構しっかり書かれてる。近未来を描いたSFということで、この世界で常識となっていることとか未来っぽい技術が実現してますよーって感じ。
月面の死体発見は2027年となっている。もうすぐだな、楽しみだ。
この作品は1977年発表らしい。
ノートPCでビデオ通話してる描写があったが、今の世界では当たり前にやってるけど当時は夢の未来みたいな感じだったんだろうな。
会議中に普通にタバコ吸ってたりとか時代を感じる部分もあった。
ちなみにこの世界では民族・国家間の争いはなくなって軍備放棄されている、それで余った予算で宇宙開発が進んだらしい。現実もそうなればいいのに。地上で争ってないで宇宙に飛び出そう。
死体(チャーリーと名付けられた)発見直後にいろいろ調査している段階では、主にチャーリーが地球人か、そうではないか、で争われていた。
生物学者のダンチェッカーはチャーリーの様々な身体的特徴、および地球上の生物の進化の系統からチャーリーは地球人に間違いないと主張して譲らなかった。
主人公のハント博士はそんなダンチェッカーに否定的だった。確かにダンチェッカーちょっとやなやつかも。
ハントは「彼は自分が信じている以外の可能性を頑として否定している。結論としては実際それが正しかった、となるかもしれないが、問題はそれに至る過程だ。もっと広い視野と柔軟な考え方が必要だ。」という趣旨のことを言っていた。
こういう人いるよね。問題解決する時は仮説を先に用意してそれを裏付ける証拠を探すっていうのは有効なやり方だけど、他の仮説を頭から否定しては建設的な議論ができなくなるし良くないと思う。
ハントとダンチェッカーは宇宙船調査のためガニメデに行くことになる。
お互いの意見を譲らなかった二人だが、ガニメデへの長い旅の中で少し関係が変わってくる。地球を遠く離れた場所では"同じ地球人である"という共通項の前では研究の意見の相違は小さな問題となるらしい。ダンチェッカー意外といいやつかも。
海外で日本人に合うとやたら親近感感じるし、ちょっとわかる気がする。
チャーリーの故郷、月、宇宙船、現在の地球人の進化の系図、どんどん新たな謎が出てきて引き込まれる。
終盤のハントの月の話は予想できたけど、最後のダンチェッカーの地球人の話は予想できなかった。そうきたかーって感じで、大胆な説だけど面白い。
最後まで読み切ったときは「コリエルーーーー!!!」って叫びそうになった。
ほんと面白かった。続編早く読もう。