【読書感想文】ガニメデの優しい巨人(ジェイムズ・P・ホーガン)
「星を継ぐもの」の続編である「ガニメデの優しい巨人」を読んだ。
前作に続きこれも面白かった。
木星の衛星ガニメデで発見された2500万年前の宇宙船の調査をしている木星探査隊。
彼らの前に突如未確認飛行体が現れた。
中から現れたのは2500万年前の宇宙船を作成した異星人種「ガニメアン」だった。
地球人類は初めて異星人と遭遇することになる。
前作の宇宙船の発掘調査で"過去にこんな異星人がいた"と過去の存在だと思われていたガニメアン。
彼らがいよいよ物語に登場した。
前作はチャーリーの発見から、現代の地球人と共通する特徴を持つ5万年前の人類「ルナリアン」の正体を探るということを目的として、発掘調査と研究により謎が少しずつ解き明かされていくストーリーだった。
今作は地球よりも遥かに進んだ技術を持つガニメアンが登場し、地球人とガニメアンとの交流が主に描かれる。
これはこれで面白かったが、個人的には謎解きのような前作の話が面白かったので少し残念。
ミネルヴァに生息していた陸棲動物は全て草食動物だった。ガニメアンも例外ではない。ミネルヴァの環境に適応した体を構成して進化していった結果、肉食動物の生活圏は深海などに限られ、地上に上がることはなかったらしい。
陸上に肉食動物がいなかったため、命がけでの闘争や逃走は発生しなかった。
その結果ガニメアンたちは他者と争うことはなく、戦争という概念すら持っていなかった。
これは作者は人類のもう一つの進化の可能性のようなもの描きたかったのかなと感じた。「もし、地球がこういう環境だったら人類はこのようになっていたのではないか」みたいなことかなと。
争うことを知らないというのは素晴らしいと思うが、それは接触する相手が全員同じ考えでいる場合に限られる。武力で侵略してくる相手と遭遇した場合には自らの身を守ることができなくなってしまう危険な状態だと思う。
ガニメアンたちは地球人の持つ闘争心を大事なものだと言った。過酷な生存競争を生き抜くことで種族の特徴として身に着けた闘争心は、文明を進歩させるために大いに役立った。それはガニメアンには無いものだ。
確かに闘争心、他者と争う心は人間にとって非常に重要なものだと思う。より良い結果を出したい、より優れた存在になりたい、と思う気持ちは向上心となり、人が成長するために不可欠なものだ。
ガニメアンたちは採食主義というか草食動物だがお酒は飲む。
ガニメアンのお酒は飲みやすく、2時間後に強烈に酔いが回ることからGTB(ガニメアンタイムボム)と呼ばれて地球人にも気に入られていた。
ぜひ飲んでみたい。蒸留酒で喉越しのまろやかな、やや甘口のやわらかいお酒らしいので地球の酒で言うとスコッチが近いのかな?地球人がGTBにはまったようにガニメアンはスコッチに夢中になったみたいなのでテイストとしては同じような感じなのかも。
ガニメアンたちは仲間を求めて再び旅立ってしまうが、いつか地球人と平和に共存できる世界になることを願う。
現実ではまだ地球人どうしで争っているので異星人とうまくやっていくのは難しそうだ。
次はどうなるのかなー。
地球の科学者とガニメアンたちは再会できるのか?
気になる。