【読書感想文】姑獲鳥の夏(京極夏彦)

 

姑獲鳥の夏」を読んだ。
百鬼夜行シリーズの第一弾。

 

映画化もしているらしいが観たことはなく、「ジャンルはミステリーらしい」というくらいしか知らない状態で読んだ。
序盤から京極堂が心と脳についてとかの持論を延々と語っていて「面倒くさいやつだなぁ」とか思ってしまった。

 

主題となる事件は失踪した男性を探してほしいというもの。
依頼人は失踪した人物の妻の姉「涼子」。依頼人の妹であり失踪した男性の妻「梗子」はどういうわけか妊娠二十か月らしい。
事件の調査が始まるが、登場人物全員怪しい。涼子も梗子もその家族も怪しい。
物語は関口の視点で語られているのだが、この関口もかなり怪しい。変な夢を見ていたり、昔の記憶が抜けているような所がある。

 

憑物とか呪いとかのオカルトなものを扱っているが、霊能力で解決というわけではなく、民俗学や心理学といった側面から説明というか謎解きがされる。京極堂の解説は読んでてなるほどなーと思った。
「この世に不思議なことなど何もない。」
序盤で面倒くさいやつだと思った京極堂がカッコよく見える。
でも榎木津の他人の記憶が見える能力は不思議だと思う。この能力は記憶と意識について長々と京極堂が説明していたがよくわからなかった。

 

これはこれで味なのだと思うが、全体的に冗漫というかもったいぶっているというか、そんな印象を受けた。
こういう表現によってこの作品独特の雰囲気が出ているのだと思うが、話の筋が面白くてどんどん先を読みたかったので気になってしまった。

 

あとやっぱり関口やばいだろ。ラストで日常に戻ってるけど、昔のことはもう忘れましょうでいいのか?
事件は解決したけど何かいまいちすっきりしないような。。。